GOTOHロックペグ交換のススメ クルーソンタイプ編

最終更新日:2025.06.13

GOTOHロックペグ交換のススメ クルーソンタイプ編

Last update: 2025.06.13

こんにちは!
BIGBOSSお茶の水駅前店 修理担当の小出(こいで)です。

皆さん、ギターライフ楽しんでいますか?
突然ですが、「愛機をちょっとカスタマイズしてみたいな……」なんて思ったこと、ありませんか?
僕は毎日そんなことばかり考えています!

そんな気持ちを共有してくれるあなたへ――

比較的手軽に始められるカスタマイズのひとつ、GOTOH製ロックペグへの交換について、3回にわたってお届けしています。

「GOTOHロックペグ交換のススメ」
・第一回:ロトマチック編
・第二回:クルーソンタイプ編
・第三回:GOTOH オプション編

今回は第二回:クルーソンタイプ編です。ぜひ最後までご覧ください!

第二回:クルーソンタイプ編

Ginson や Fender、その他のトラディショナルスタイルのギターがお好きな皆さま、大変お待たせしました。今回のテーマは、エレキギターの歴史をヘッドから支えてきた「クルーソンタイプのロックペグ交換」についてです!

普段使っているレスポール、チューニングが狂いやすいと感じたりしませんか?
ストラトキャスターでアーミングした後、チューニングに不安はありませんか?
単純に、弦交換がもっと楽になったら素敵ですよね!!

そんなお悩みを解決する糸口として、ロックペグへの交換はカスタマイズの第一歩にとてもオススメです!

ただ、このクルーソンタイプ、GOTOH製ロックペグに交換する場合には加工が必要なんです。

僕も高校3年の夏、この事実を知らずに作業を始めて、弦を張ってから「あれ?なんか斜めになってる…?」と気づいた時の衝撃、今でも覚えています。

そんな体験談も交えつつ、ペグの選び方、交換するメリット、交換方法などお届けします!

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https://bigboss.jp/products-gotoh-lockpeg-kluson-type/

クルーソンタイプって何?

では、前回同様にここからはじめます。
クルーソン?クルーソンタイプって何?

■クルーソンタイプについて

まず、クルーソンペグとは、パーツメーカーとして1925年にシカゴで創業し、100年近くの歴史をもつクルーソン社が生産するペグです。

クルーソンペグは、オープンギアタイプと異なり、ギア部分がカバーで覆われています。このカバーが軸受けの役割も兼ねており、高い信頼性とコストの低減を両立。Gibson , Fender , Martin , Rickenbacker といった大手ギターメーカーに供給され、ギターペグの定番となりました。

その後、1976年にGibson がクルーソンペグからシャーラーのペグに仕様変更を行うなどの影響もあり、1981年に倒産しますが、1994年にWD Music Productsのもとブランドは復活しています。

現在では、このクルーソンペグをもとに、様々なメーカーから互換性のあるペグが製造されています。
つまり、「クルーソンタイプ」という呼び方は、ここからきているんですね!

■クルーソンタイプを構成する要素

では、クルーソンタイプのペグを構成する要素を、2つに絞ってご説明します。

 

①ヘッド表面には円形のブッシュが木部に直接打ち込まれている。
②ヘッド裏面から、ビス2本で固定されている。

ギター業界あるあるの例外もありますが、これらの特徴を持ったものをクルーソンタイプペグと呼びます。

クルーソンタイプペグは、Gibson や Fender のギターをはじめ、トラディショナルなスタイルを踏襲したギターに採用されていることが多いですね。

種類は大きく分けて Gibson スタイルに多い「両連タイプ」と、Fender スタイルに多い「片連タイプ」。
この2種類のみと少ないので、タイプを決めるまでは比較的簡単です。

この要素に当てはまる方は、この記事をお読みいただければ、きっとあなたの愛機に合ったペグにたどり着けるはずです!
(当てはまらなかった方は、クルーソンタイプ以外のペグになります。第一回:ロトマチック編もご覧ください。)

ロックペグのメリットは何?

次に、ロックペグとは何か、ロックペグの種類やメリットについて解説します。
第一回のロトマチック編でご覧になった方も、ぜひもう一度お読みください!

■ ロックペグとは

そもそもロックペグって何?、聞いたことはあるけどメリットがよく分からない。
そんな方も多いのではないでしょうか?

ここでは、ロックペグとは何か、交換するメリット、ロックペグの種類についてご説明いたします!

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まず一般的なペグは、要するにただの糸巻きで、巻き付けることで弦を固定し、チューニングを上げ下げする構造です。

簡単に言えば、弦をグルグルしてあるペグってことです。

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それに対し、ロックペグとはズバリ!
弦を巻き付けずとも、弦を固定する機能を持ったものを指します。

簡単に言うと、弦をあんまりグルグル巻きません。(ペグそのものに弦を固定するので、グルグル巻く必要がありません。)

これがどういうメリットかと言うと、

・ペグに巻き付ける弦が少なく、弦交換が圧倒的に簡単、失敗のリスクの減。
・巻き付けが少ないことによるチューニングの安定。

この2つが大きなメリットですね!

■ ロックペグの種類

次にロックペグの種類についてご説明します!
これは、ざっくりトップロックタイプとバックロックタイプに分類できます。

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・トップロックタイプ

トップロックタイプは、ペグシャフトにネジ加工などが施されており、弦とシャフトで挟み込むような構造になっています。

GOTOH で言うところの MG(マグナムロック)がこのタイプに当たります。

非ロックタイプとあまり外見が変わらない物が多く、見た目を変えたくない方にはこちらがオススメですが、弦交換に一癖ありますので、慣れはちょっと必要かもしれません。

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・バックロックタイプ

対してバックロックタイプはペグの裏側ダイヤルを締め上げ弦を固定します。

GOTOH で言うところの MG-T(マグナムロック-トラッド)がこのタイプです。

ペグの裏にダイヤルが付くので、外見が少し変わり、ヘッド重量もほんの少しだけ増えますが、仕組みが簡単ですので弦交換はこちらのほうが分かりやすいところが特徴ですね!

・ロックペグについてのまとめ

トップロックとバックロック、どちらのタイプも特に性能に差はありませんので、自分のスタイルに合った方を選んでくださいね!

ここまでで何となくロックペグがどんな物で、どのようなタイプがあるかお分かりいただけましたか?

次でいよいよ、お手持ちの楽器にあったものを選ぶポイントの解説です!

GOTOH製ロックペグ クルーソンタイプの判別ポイント

■ポイントは3つ

レスポールやSGのように、左右に3つずつペグが付いている両連タイプはわかりやすいですが、ストラトキャスターなどの片連タイプは、リバースヘッドだと対応するペグが変わります。

・ポイント1:両連タイプか片連タイプかを見分ける。

両連タイプは、ヘッド正面からから見て、左右に3:3でペグが付いているタイプです。

レスポールや SG などのギターにマッチするように設計されています。
ペグを真裏から見たときに、ビス2本でペグ1個を固定しています。

GOTOHからは様々な両連タイプがリリースされていますが、今回は SD90 のロックペグをおすすめいたします。

片連タイプは、ヘッドを正面から見て、左右どちらか片方にペグが一列に並んでいるタイプです。

Fender のストラトキャスターやテレキャスターや、同じスタイルのギターに採用されています。

ペグは2本のビスで固定されていますが、よく見ると、2弦から5弦のペグは、ビス一本でペグ2つを一緒に固定しています。

今回は SD91 のロックペグをおすすめいたします。

・ポイント2:片連タイプは向きに注意する。

片連タイプの場合には、向きに注意する必要があります。

ペグの品番には「L」と記載されている物と「R」と記載されている物があります。

ヘッドを正面にペグのつまみが左側にくる物(普通の右利きストラトタイプ等)は「L」を、つまみが右側にくる物は「R」を選びましょう。

例えば、こちらは GOTOH のペグに記載されている品番になります。

SD91 – これは GOTOH のペグの型番となります。

05M – これはツマミの形状を表しています。
勘のいいあなた、ここの話はまた今度、もう少しペグの深淵に踏み込んでからお話します。

L6 – これが向きとなります。この場合だとヘッドを正面に左側にツマミが来るモデルになります。右側にツマミが来るモデルは R6 という表記になります。ちなみに両連の場合は L3+R3 という表記になりますよ!

MGT – この軸オプションにより、ロックペグのタイプを表しています。
   ・何もなし – 一般的なペグ
   ・MG – ロックペグ(マグナムロック)
   ・MG-T – ロックペグ(マグナムロック-トラッド) 

ご購入の際には、まずここをチェックしてくださいね!

・ポイント3:片連タイプはポストの長さも選択可能

GOTOH製ロックペグ(片連タイプ)は、ポストの長さにもこだわりがあります。

[標準セット]では、

1~3弦に18.5mmのSHORTポスト、
4~6弦に20mmのLONGポストを採用しています。

この組み合わせにより、ナットにかかる弦のテンションが適切に確保され、弦の振動を最大限に引き出す設計となっています。

BIGBOSS ONLINE MARKETでは、「演奏時の感覚はなるべく変えたくない」といったプレイヤー向けに、全弦ロングポスト仕様の [ロングポストセット] もラインナップ。お好みに合わせてお選びください。

■ どうしよう!わかんないかも!ってなってしまったあなたへ

少しでも不安な場合には、お気軽に最寄りのESPダイレクトショップおよび BIGBOSS 各店へご相談ください。

ペグをお探しの場合は、ヘッド正面とヘッド真裏の写真をお持ちください。

本体もお持ち込みいただけましたら、取り付けまでサポートいたします!
(別途取付工賃がかかります。ご了承ください。)

皆さまのご来店を心よりお待ちしております!

交換方法を解説。※今回はリペアショップへの交換依頼がおすすめ!

お待たせいたしました。
いよいよペグ交換について解説していきます!

クルーソンタイプのGOTOH製ロックペグへの交換には、冒頭でも触れた通り加工が必須です。
その加工が必要な箇所というのがこちら「ブッシュ」になります。

 

 

ヘッド木部に直接打ち込まれたこのブッシュは、ペグのシャフトを支える役割があります。

一般的なクルーソンタイプの場合、ブッシュの内径はほとんどが 6.35mm で、ペグのシャフトをしっかりと支えるサイズで作られています。

しかし、クルーソンタイプのGOTOH製ロックペグの場合、ペグシャフトの直径はやや細めの 6mm のため、内径 6.35mm のブッシュのままではペグシャフトとブッシュの隙間が大きくなってしまうため、ペグシャフトをしっかり支えることが出来ません。

そのため、ロックペグ専用のブッシュに交換する必要があります。

そんな事は知らない高校3年生だった僕は、弦を張り終えた後、ペグのシャフトがもの凄く弦に引っ張られ、斜めに傾いている事に気が付きました。

斜めになったシャフトを見て「もしかしてブッシュも変えなきゃダメなの?」 「これ外れるの?」「外した後、専用ブッシュはどうやって付けんの?」 と固まりました。

でも大丈夫です!ブッシュは抜けます。そぉっと作業すれば綺麗に抜けます。そして専用ブッシュに交換するのです。

■ブッシュの交換方法

GOTOH製ロックペグのセットには、専用のポンチが付属しています。

このポンチを使って、ヘッド裏から古いブッシュをハンマーなどで打ち抜きます。

全てのブッシュを抜き終えたら、同じポンチを使って、ヘッドの表から新しいブッシュを打ち込みます。

 

と、文章にすると簡単そうですが、
当然この作業、木材に直接打ち込まれているブッシュを打ち抜いたり、ブッシュを打ち込んだりする作業です。

塗装のチップや木部の破損リスクもあるので、最寄りのESPダイレクトショップ、BIGBOSS各店、もしくはお近くの信頼できるリペアショップへのお持ち込みを強く推奨いたします!

おすすめのGOTOH製ロックペグ クルーソンタイプ

GOTOH製ロックペグ クルーソンタイプは、BIGBOSS ONLINE MARKET でもお買い求めいただけます。

弦交換のし易さから、バックロックタイプの SD90-MGT と SD91-MGT をおすすめしております。

GOTOH SD90 のバックロックタイプです。

SD91-L6-MG-T [標準セット]

GOTOH SD91 のバックロックタイプ。
[標準セット]=1~3弦はショートポスト、4~6弦はロングポストのセットです。

SD91-L6-MG-T [ロングポストセット]

GOTOH SD91 のバックロックタイプ。
[ロングポストセット]=1~6弦まで全てロングポストのセットです。

SD91-R6-MG-T [標準セット]

GOTOH SD91 のバックロックタイプ。
[標準セット]=1~3弦はショートポスト、4~6弦はロングポストのセットです。

SD91-R6-MG-T [ロングポストセット]

GOTOH SD91 のバックロックタイプ。
[ロングポストセット]=1~6弦まで全てロングポストのセットです。

トップロックタイプもご用意可能です。
BIGBOSS ONLINE MARKET でご購入をご希望の方は、下記よりお気軽にお問合せください。

 

いかがでしたか?

第二回目の今回はクルーソンタイプのご紹介となりました。
レスポールやストラトキャスター、テレキャスターといったトラディショナルなスタイルのギターにおける、チューニング安定度の向上などにとても有効なカスタマイズです。

ここまでお読みいただき、交換にチャレンジしてみたくなった方は、ぜひショッピングページをご覧ください。

ロトマチックとは異なり、取り付けに加工が必要となりますので、ご自身での交換に不安のある方は、無理せずにショップまでご相談くださいね。

次回は「オプション編」をお話できたらと思っております。

それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
今回の記事が、皆様のお役に立てれば幸いです。

またお会いしましょう!

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